2023/12/18

第3アドベント礼拝メッセージ「マリアに宿る神の子」ルカの福音書1章26-38節 村島健一郎神学生 2023/12/17


【苦しみのイスラエル・苦しみのマリア】

ガリラヤのナザレという町に住むマリアという女性に天使マリアに告げます。「あなたは身ごもって、男の子を生む。そして、その男の子の名前はイエスと名付けられる。その子は大いなる者となり、いと高き方の子と呼ばれる。その子はダビデ王家の王位を継ぐ、聖なる子、神の子である」マリアも天使の言っていることが何のことかは分からなかったでしょう。マリアの関心もどんな子供かよりも、子供を宿すということに向いています。それは大スキャンダルだからです。当時のユダヤ社会で、正式には結婚していない若い女性が妊娠するなどということはあってはなりません。これはマリアには何とも酷すぎる出来事です。そして、経済的にもローマとエルサレムから搾取をされていたと言われています。マリアの生活、マリアの人生は宗教的にも、経済的にも厳しいものでした。

そこに自分の妊娠が知らされます。これ以上の試練があるでしょうか。現代の視点からは、神様はマリアにあまりにも厳しすぎるという人たちもいます。マリアは、まるで当時のイスラエルがかかえるすべての苦悩を象徴するかのようです。

【神の物語の始まり】

神様はイスラエルの苦しみ、嘆きに目を留めておられました。そのようなイスラエルの中で、神はご自身の最終的な愛の物語を始められました。マリアの苦しみ、困惑もご存知でした。神様自身も苦しむマリアと共に苦しんでおられます。「マリア、すまない。でも、こうして子なる神を送らなければ、誰も救い主を信じることはできないのだ。こうしなければ、イスラエルを悪と罪と偶像礼拝という捕囚の世界から救い出すことはできないのだ」と言っておられるようです。これこそ神の最終的な被造物の救いの始まりです。これがまさに新しい出エジプトです。

イスラエルの苦しみに、神様は耳を傾け、モーセを送り、イスラエルをエジプトから脱出させました。今は、マリアを通して、イスラエルを苦しみから解き放とうとされます。これが、イスラエルの救いと解放と回復の始まりです。残念ながら、当時のユダヤ人やイエス様の弟子たちも平和はローマ帝国を滅ぼすことで得られると信じていました。

しかし、神様が私たちを救うというのは、神様の愛が民族的、社会的、性別的、経済的な境界を越えて到達し、隔ての壁を打ち壊すことです。そして、この世を支配するサタン、罪、死を打ち負かし、疲弊しきったこの世界に回復と和解をもたらすことです。苦しみと悲しみが永遠に続くと思えるような状況の中で、イスラエルの人々はメシアを待ち望んでいた。マリアもその期待を感じていたでしょう。そのイスラエルの声に応えて神様は神の子、救い主、イエス様をお送りくださいました。同時に、神様もマリアを信じ、マリアに期待して、マリアと共に苦悩しながら、マリアに神の子を宿らせました。そして、マリアの応答が神の愛の物語、苦しみからの解放の物語の始まりとなります。

【神の平和】

この世を支配するサタン、罪、死を打ち負かし、疲弊しきったこの世界に回復と和解をもたらすために、イエス様は世界にいらっしゃいました。世界の回復と和解、聖書はこれを平和、シャロームと呼びます。

神の子が赤ちゃんとしてマリアのお腹に宿る。象徴的です。母親のおなかは赤ちゃんが生まれるまで憩う場所です。私たちは神様を信じて、神様に平安や平和を求めます。しかし、聖書は神様も憩う場所を求めておられると言います。「わたしの安息の場は、いったいどこにあるのか」(イザヤ66:1)。

神様は今も憩う場所を求めておられます。ルカの福音書では、神様の憩う場所はマリアでした。しかしマリアだけはありません。収税人、罪人、病人、女性のような当時のイスラエルでは疎外されていた人々に、神様は憩いの場所を求めました。神様は私たちを憩う所にしたいと願っていらっしゃいます。創世記の1章に書かれているような、神と神に作られたすべてのものが一緒にいて、平和と憩いに満ち溢れた世界を祝福したいと願っていらっしゃいます。神の愛の物語、世界を苦しみからの解放する物語は、マリアの応答から始まりました。世の中はまだ憩うような所ではありません。苦しみや悲しみが続きます。今神様は私たちのうちに憩う場所を見つけてくださいました。教会も私たちが神様と共に憩う場所でありたいと思います。


(礼拝プログラムはこの後、または「続きを読む」の中に記されています)



 礼拝プログラム

■教会学校(9:30-10:15)

  • 信仰の学び⑤「戦争」大頭眞一牧師
  • ※全分級合同で3階牧師室にて


■主日礼拝(10:30-11:45)

  • 前奏:(奏楽の内に主を待ち望みましょう)
  • 招きの言葉:ヨハネの福音書1章9節(新約 P.175)
  • 賛美:79
  • 交読文:29 詩篇95篇(新聖歌 P.852)
  • 牧会祈祷:大頭眞一牧師
  • 主の祈り:新聖歌 P.826
  • ワーシップ:「HOPE」「ヤコブの家のクリスマス」Bless ※事前録画
  • 賛美:82
  • 信仰告白:使徒信条(新聖歌 P.826)
  • 聖書朗読:ルカの福音書1章26-38節(新約 P.107)
  • 説教:「マリアに宿る神の子」村島健一郎神学生 ※信愛より
  • 賛美・献金:78
  • 感謝祈祷:
  • 頌栄:讃美歌21「27番」(曲は新聖歌63と同じ、詞は下記)
  • 「父・子・聖霊の ひとりの主よ 栄えと力は ただ主にあれ とこしえまで アーメン」
  • 祝祷:大頭眞一牧師
  • カテキズム:(左上に掲載)大頭眞一牧師 と 報告:(裏面に掲載)司会者
  • 祈祷: